第4回『アルティメットのデッキ構築』
 ノロウィルスにやられて、丸2日トイレから出られなかった中澤です。
 みなさんも体調には気をつけてくださいね。
 さて、さっそくだけど前回のお題を振り返ってみよう。

あなたの手札:3コストのスピリット2枚と4コストのアルティメット1枚、7コストのアルティメット1枚
(スピリットのシンボルはそれぞれ1つであり、スピリット、アルティメット共に軽減シンボルは2つ以上持っている。カードの色は全て同じものとする。)
あなたのリザーブ:コアが8個
あなたのフィールド:なにもなし
相手のフィールド:赤の3コストのスピリット1体、「アルティメット・ジークフリード」1体

 この状態で、あなたは何をするでしょう?
 ぱっと見た目、3パターンの対応が考えられそうな気がしないかな?
(1) 3コストのスピリットを2体召喚
(2) 3コストのスピリット1体と4コストのアルティメット1体を召喚
(3) 何もしないでターンエンド

 3コストのスピリットの持つ効果にもよるけれど、(1)はあまりお勧めできない。もし返す相手のターンで2体ともスピリットが破壊されてしまうと、手札の2枚のアルティメットが召喚できなくなってしまうからだ。
 もしかしたら、7コストのアルティメット召喚を狙って(3)を選ぶ人もいるかもしれない。
 間違いとは言わない。しかし、3コストのスピリットと7コストのアルティメットを同時に召喚するためには、3コストのスピリットの上のコアをアルティメットの召喚時に使用するにしても10個のコアが必要だ。次のターン、相手が何もしてこなくて、スピリットを並べてきたらどうするだろう? 自分の手番をもう1ターン待たなくては召喚できない。そもそも防御カードなしで、次のターンの相手のアタックに耐えきれるだろうか? かなりのリスクのある戦法である。
 最も無難なのは(2)の選択である。アルティメットを出しておけば、相手のジークフリードの楯になる。3コストの赤スピリットを守りぬくことができれば、次の自分のターンで逆転の要となる7コストアルティメットが召喚可能だ。
 しかしこの選択も、実は3コストのスピリットを破壊されてしまうと、途端に苦しくなる。何しろ7コストのアルティメットを召喚するには合計10コア必要なのだ。軽減に使えない4コストのアルティメットがフィールドに残っていれば、さらに1ターン展開が遅れてしまう。相手にブロックを強制するジークフリードがいる以上、1体だけスピリットを出しておくというのはやりにくい。召喚した3コストのスピリットを守りきれるかどうかに、すべてがかかっているのだ。

 そこまで悪くない手札のはずなのに、なんか苦しく感じてしまうのはなぜだろう?
 では、ここでちょっと手札にあるスピリットカード2枚が0コストだったらどうなるかためしてみよう。
 0コスト召喚(1コア)、0コスト召喚(1コア)、2軽減で5コア払って7コストアルティメット召喚(5+1コア)…… おや、まあ、不思議。一瞬で7コストアルティメットが出ちゃいませんか、お客さん。キックオフしたボールがいきなりゴールみたいなものでしょう。あっという間に、答えを考えるのもばかばかしい問題に早変わりですよ。
だったら最初から0コストでよかったじゃん! そうお思いの方もいるでしょう。明確な答えのない問題を出すなとお怒りの方もいるでしょう。「いやいや人生と恋愛は答えのない問題だらけなのだよ。」などという飲み屋のおっさんみたいな話はどうでもよくて3コストなのには理由があるんです。
なぜ最初の例題が3コストだったかと言うと、これまでのデッキ制作のセオリーでは、低コストスピリットの軸が3コストだったから。自分のデッキで一番コストが低いスピリットが3コストだという人、けっこういるでしょう。実際、わたしの持っているデッキの半分以上はこのタイプだし。だから、デッキに入っている最も低いと思われるスピリットとアルティメットの組み合わせだとどうなるのかを考察するために、あえて手札のスピリットカードを3コストにしたわけなのだ。
 もちろん相手の状況にもよるし個々の場面は千差万別だけど、3コストを0コストに変えると、アルティメットを使う上では一気に展開が楽になることだけは、どんな状況でも間違いがない。手札の中に0コストスピリットとアルティメットのセットがあれば、状況をひっくり返せる可能性は高くなる。
 つまり、アルティメットデッキを作るなら、0コストや1コストのスピリットをたくさん入れた方が展開しやすい。これまでのデッキセオリーにとらわれず、新たにデッキをデザインするべきなのだ。派手な海外組だけじゃなくて、国内組にも目を向けるべきなのだ。派手なプレイの若手ばかりじゃダメなのだ!
 お約束のサッカーネタをかましてスッキリしたところで、アルティメットデッキを作る上でのポイントをまとめておこう。

・好きなアルティメットをいっぱい入れよう(でも色はまとめよう)
・それと同じ数かそれ以上の0か1コストのスピリットを用意しよう
・デッキはウィニー気味になるので、手札を増やせるカードを入れよう
・アタック重視のデッキになるので、マジックやバーストで防御できるように準備しよう
・もちろん、0か1コストのスピリット以外にもよいスピリットはいるので、効果重視で厳選しよう

 というわけで今回はここまで。
 なんかどんどん文章量増えているよね。ごめんねホームページの中の人。

それでは次回『アルティメットデッキとの戦い方とアルティメットの未来』でお会いしましょう。

中澤 光博
(株式会社ORG)

数多くのトレーディングカードゲーム開発に携わっており、BattleSpirits開発初期からゲームデザインを手がけるクリエイター。公式大会ではジャッジも務める。

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