バトスピの世界観

契約編:界の世界観

第4章 エピソード3:プチフェニル

審判獣の大侵攻が始まって数日、世界は確実に崩壊へと向かっていた。そんな中、眠れるレジェンドスピリットの1体「大天使ヴァリエル」からの交信を受け取ったトアは、蟲の妖精たちの王国「インセクティア」へと向かっていた。

契約の巫女トア
「世界が崩壊する前に目覚めさせて欲しいって、直接頭に話しかけてくるレジェンドスピリットなんて初めてだよ」
(大天使ヴァリエル)
“私の鎧は……あらゆる精神への……攻撃を遮断する……それが幸い……したのだろう。 インセクティアはもう近い……そこにはベヒードスも……眠っている……“
契約の巫女トア
「ヴァリエルによれば、本体は蟲の王国インセクティアにあって、そこにもう1体のレジェンドスピリットもいるみたいだね」
花相棒フラウ
「トア、今もヴァリエルさんとお話しできるの~? 蟲の妖精さんたちの国かぁ~……カイザーアトラス皇帝も心配してるって~」
契約の巫女トア
「うん、途切れ途切れだけど、意思の疎通はできる感じ」
プチスターク
「アイシー。興味深いことですね」
「そういえば、インセクティアの名前は、フェニルから聞いたことがあります。深い森の中にある緑豊かな国だと。しかし、それゆえに、外からの来訪者を拒むとか。こんな時に彼女がいてくれれば……」
プチシャック
「はっはーッ! あいつなら、そのうちしれっとした顔で飛んでくるだろう! まあ、いないやつのことを当てにしてもしょうがなかろう。外交なら俺様の出番だ! 噂では三人の美姫が統治している国だというではないか。安心して任せるがいい!」
幻相棒パルム
「さ、三人の美姫……へぇ~、そうなんだ。ふぅ~ん」
鷲相棒ガット
「ビューティープリンセスかッ! それも三人も! 一目見てみたいものだな☆彡」
冥相棒カミュ
「……トア、男どもが気持ち悪い顔をしている」
零相棒ウィズ
「僕を一緒にして欲しくはないのだが……」
造相棒レーヴ
「心外 否定 前言ノ訂正ヲ求ム」
プチグロウ
「お前の仲間たちは面白いな!」
契約の巫女トア
「あはは、こんなでもやるときにはやる子たちですから」
プチバット
「皆さん、レジェンドスピリットに認められていますからね。十分手練れですよ、自分には分かるであります」
プチランポ
「うん~、超契約煌臨したぼくたちにまけないくらいつよいよね~」
契約の巫女トア
「ありがと。あたしの自慢の仲間たちだよ」

インセクティアへの道すがら他愛もない話をしていると、遠くからでも分かる2つの大きな岩の塊が見えてくる。そこへ再びヴァリエルからの交信が届く。

(大天使ヴァリエル)
“トア……良くない者が……この地に……近づいている……気を付けよ“
契約の巫女トア
「良くない者って……まさか」
???
「そう! レジェンドスピリットを巡るゲームもついに最後という事だ」
契約の巫女トア
「やっぱりあんたか、カイ。レジェンドスピリットは渡さないよ! 2体ともあたしが手に入れて、あんたとの因縁もお終いにするんだから」
契約者カイ
「因縁か……まあいい。今こそ決着の時! 最後はシンプルに代表者を出しあい、力比べということでどうかな? その勝者が2体のレジェンドスピリットを手に入れるわけだ。この勝負、受けるかい?」
契約の巫女トア
「受けて立つよ! そっちは後ろのライオンさんかな?」
相棒獅子ラオン
「審判獣の管理も事ここに至っては無意味。久しぶりに1人の戦士として戦いに赴かん」
プチシャック
「ラオンか! なら俺様が出ようっ!」
契約の巫女トア
「うん、じゃあ任せたよ」
???
「ちょ~っと待ったぁ!」
契約者カイ
「む……」
契約の巫女トア
「っとと、だれ?」
プチシャック
「……ほう」

対峙するプチシャックとラオンに割って入るように、光の剣を携えた少女のスピリットが姿を現す。

???
「いきなりバトルだなんて、カイってばそんなに遊び心ないヤツだった?」
契約者カイ
「なかなか痛いところを突いてくるね」
???
「ゲーム好きってとこだけは、認めてるのよ、あたし。それに、バトルに夢中になってる隙に何かしようとする抜け目のなさも、ね」
契約者カイ
「相変わらず、君は食えないなぁ。その点、巫女殿はとても素直で助かってたのだが」
契約の巫女トア
「ちょっとぉ、あたしはそんなチョロくないしっ!」
零相棒ウィズ
「……」
プチグロウ
「……」
契約の巫女トア
「みんなっ!? 黙らないでよぉ!」
(大天使ヴァリエル)
“なかなかの……洞察力……それに……あの者は……かつて……私の周りに現れた……審判獣を一掃した程の……力の持ち主……ただ者ではあるまい“
契約の巫女トア
「カイも知ってるみたいだし、大天使ヴァリエルが認めたってことは、もしかして、この人が最後のダンの相棒?」
フェニックスメイデン・フェニル
「どうやら、間に合ったみたいね! ヒロインは遅れて参上するってね♥」
「あたしはダンの相棒のフェニル! トアっていったっけ? カイは何か企んでる。簡単にアイツの口車に乗っちゃダメよ」
契約の巫女トア
「う……は、はい」
プチグロウ
「もうエンゲージブレイヴも手に入れているのか、さすがだな」
フェニックスメイデン・フェニル
「えへへ、運が良かっただけよ。まあ、その運を味方につけるのがあたしなんだけどね!」
プチシャック
「はっはーッ! 吹かしおって。相変わらずの様で安心したぞ」
フェニックスメイデン・フェニル
「あたしが来たからにはカイに好き勝手させないわよ。まず、アイツからの提案は却下! あなたたちがバトルしている間に、2つとも掻っ攫おうって魂胆見え見えよ」
「戦力差も分かってただろうから、ラオンだけ連れてきてる保証もないしね」
契約の巫女トア
「そっかー、このバトルが囮だったかもしれないのか、危ない危ない」
フェニックスメイデン・フェニル
「というわけで、カイ! ここからはあたしの仕切りでやらせてもらうけど、いいわよね♥」
契約者カイ
「ふむ……いいだろう」
フェニックスメイデン・フェニル
「じゃあ、ここは運を天に任せましょ。あの2つの大岩、どっちか選んで、それぞれが目覚めさせる。お互い、何が目覚めるか分からない。目覚めたレジェンドスピリットを味方につけられたら勝ちよ。あとレジェンドスピリットを操るのはナシだから」
契約者カイ
「私がそれを守る保証は?」
フェニックスメイデン・フェニル
「ないわね。だから、あんたはここに残って。レジェンドスピリットを目覚めさせに行くのは1人ずつ、そっちはラオンよ」
契約者カイ
「随分と注文の多いことだ」
フェニックスメイデン・フェニル
「トアもそれでいい?」
契約の巫女トア
「あっ、は、はい! こっちはあたしが行きます!」
フェニックスメイデン・フェニル
「OK じゃあ、どっちがどの大岩に行くかは、サイコロを振って決めましょう。目の大きかった方が好きな方を選べるってことで。ラオンからでいいわよ」

ラオンがサイコロを振り、出た目は4。

相棒獅子ラオン
「ふむ、まずまずの目だ」

次いでトアがサイコロを振る。出た目は……

契約の巫女トア
「でたー! 6ーーっ!」
フェニックスメイデン・フェニル
「じゃあ、トア。好きな方を選んで」
(大天使ヴァリエル)
“私は……そなたから見て……左の方だ……“
契約の巫女トア
「じゃあ、左の方で」
相棒獅子ラオン
「では、我は右の大岩の方に向かうとしよう」
フェニックスメイデン・フェニル
「決まったわね。それじゃあ、早速始めるわよ。位置についてぇ……ゲームスタートッ!」

フェニルの合図とともに、両者はレジェンドスピリットが眠る大岩へと駆け出していく。トアは躓きながらも懸命に大岩へと向かっていく。一方、ラオンは獣の脚力で、険しい道のりも難なく走破していった。

契約の巫女トア
「け、結構遠い……ダメだ、ラオンに追いつけそうにない……」
(大天使ヴァリエル)
“早さを競っているわけでは……ないだろうに……“
契約の巫女トア
「そ、そうだった。けど、やっぱり、早く着いた方が有利だよ~」

トアが懸命に走っている時、ラオンが先に大岩に到着し、レジェンドスピリットの眠りを覚ます。大きな咆哮と共に姿を現したのは「超獣王ベヒードス」だった。ラオンは交渉を開始したようだ。そうしている内、トアもヴァリエルの大岩の前に辿り着く。

契約の巫女トア
「ヴァリエル、着いたよ! 目を覚まして、そしてあたしたちの力になってッ!!」
大天使ヴァリエル
「心得た! 大天使ヴァリエル、崩壊するこの世界を救うため、トアと共に戦おう」
契約の巫女トア
「やっと会えたねヴァリエル。早速だけど、もう最初の仕事があるみたい」

ベヒードスとラオンがトアとヴァリエルの方に迫ってくる。ラオンの交渉は成功したのだろう。ベヒードスはカイたち崩壊契約の陣営についてしまった様だ。

大天使ヴァリエル
「あのケダモノは私に任せるがよい。トアはあの契約者に気を配っておくのだ。あの者、何か企んでおるぞ」
フェニックスメイデン・フェニル
「よく分かってるじゃない、ヴァリエル」

ヴァリエルとベヒードスの戦いが始まろうとしているそこへ、フェニルが姿を現す。

フェニックスメイデン・フェニル
「ヴァリエルは味方につけたみたいね、トア。ゲームはここまでよ! カイはここから盤面をひっくり返してくるわ」
契約の巫女トア
「はい! あいつはそういうヤツですもんね。準備はできてます」
相棒獅子ラオン
「そう、此度の遠征の目的は別にある。余も本気を出させてもらおう!」

ラオンは裏契約煌臨を履行すると、深紅のマントをたなびかせた、雄々しい姿へと変わっていく。

覇皇帝カイゼル・ラオン
「我らの目的は、デスペラードの奪取! 今頃はカイ殿が動いておられるはず。トア殿とヴァリエル殿は、しばらく余に付き合って頂こう」
フェニックスメイデン・フェニル
「そんなこったろうと思ったわ! ラオンはあたしが止める。グロウたちがいるから滅多なことにはならないと思うけど、トアはカイのところに急いで!」
契約の巫女トア
「はい!」
フェニックスメイデン・フェニル
「この姿のあたしは、一味違うわよ! どこからでもかかってきなさいっ! いざ、勝負っ!」

――スタート地点。カイは、キングタウロスを繰り出し、デスペラードと対峙していた。プチバットをはじめとする他の相棒たちも加勢しようとするが、姿を現したフェルマ、ガタルの術により、動きを封じられてしまっている。そこへ息を切らせてトアが到着する。

契約の巫女トア
「やっぱり、他にも仲間を連れて来てたんだ。これって、どういう状況?」
星数賢者フェルマ・シーラム・Q.E.D.
「貴方たちの星の動きを止めました。ここでは、自由に煌臨して戦うことはできません」
G∴B 真王シニスター・ガタル
「俺の許可した奴しか動けねぇ結界だ。大人しく、デスタウロス誕生の瞬間を待つんだな」
契約者カイ
「貸していたデスペラードは、ここで回収させて貰おう。さあ、キングタウロス大公よ! デスペラードを取り込み、デスタウロスへと成るのだ!」

キングタウロスの剣がデスペラードへと向けられる。それに合わせ、デスペラードも剣を構え直す。

プチランポ
「大公~、もうやだよぉ~。ぼく、大公といっしょにたたかいたいよ~。いつまでカイのいいなりになってるの? 大公がしたかったのは、こんなことなの?」
G∴B 真王シニスター・ガタル
「悪あがきだ。そんな姿のお前に俺の計算を狂わせる力はない」

プチランポの必死の問い掛けも虚しく、キングタウロスの剣がデスペラードの中に吸い込まれていく。デスペラードの傷口から大量の紫の光が溢れ出し、キングタウロスと辺りを包んでいった。

契約の巫女トア
「そんな……っ!」
プチランポ
「大公~……」

カイの思惑通り、デスタウロスが誕生しようといる。しかし、トアの目には、剣を受ける瞬間、デスペラードは自ら受け入れた様に見えていた。

光の奔流が収まると、そこには、キングタウロスとデスペラードが融合した様なスピリットが佇んでいた。

契約者カイ
「ふふふ、遂に出現したなデスタウロス! さあ、共に世界の崩壊を!」

カイが大きな手ぶりでデスタウロスに声をかける。しかし、デスタウロスは視線を足元でうなだれるプチランポへと向ける。

大甲帝デスタウロス
「ランポよ……我はキングタウロスにしてデスペラード……お前の声はいつも聞こえていた」「我は破壊者なれど、誰かに従う者ではない。我を御しようなど、我が許さん」「待たせたな」「我は大甲帝デスタウロス。この身は世界救済契約に殉じよう」
プチランポ
「わぁ、大公~! じゃなくて、大こうて~! やっとちゃんとお話しできたよ~」
契約の巫女トア
「キングタウロスは、最後に自我を取り戻したんだ。デスペラードはそれを分かって自分から身を捧げたんだね」
契約者カイ
「…………」
G∴B 真王シニスター・ガタル
「チッ、最後までアイツはアイツってことかよ……」
星数賢者フェルマ・シーラム・Q.E.D.
(カイ様)
契約者カイ
(……ああ)
契約者カイ
「これより3日後、ミッドバレーに再びザ・ジャッジメントが現れる。それが最後の審判だ。そこですべてのレジェンドスピリットが会すれば、すべての根底が覆る」
契約の巫女トア
「なに、言ってんの? そんな情報、あたしに教えていいわけ?」
契約者カイ
「必ず、お前の持つレジェンドスピリットを連れてこい。わかったな、トア」
契約の巫女トア
「なんなの? 根底が覆るって、世界が崩壊するってことじゃないの……?」

困惑するトア。それを顧みることなくカイたちは魔法の回廊を開け、この場を去っていった。結界が解かれ、次々と相棒たちが自由になる。

プチグロウ
「ミッドバレーか……またあそこに行くのか」
零相棒ウィズ
「カイの最後の言葉……何か引っかかるな。レジェンドスピリットが揃ったら、審判の牢獄への道が開けるはずだが、それだけではないのか……?」
プチフェニル
「あたしたちの用意できる札はすべて揃ったわ。あとは勝負所を間違えないことだけよ」

ラオンとの戦いを終えたプチフェニルが合流し、ここにダンの相棒が再び揃うこととなった。久しぶりの再会を喜ぶフェニルたち。トアの相棒たちも加わり、和やかな時間が訪れる。

――そして3日後。「レクリス」の運命が決まる審判の日が訪れる。

プチフェニル