バトスピの世界観

契約編:界の世界観

第4章 エピソード1:プチバット

ここは闇騎士たちが治める国キャメロット――の面影を残す場所。ソーディアス・アーサーが統治していた時代から時は流れ、今では残った闇騎士たちがひっそりと隠れ住む古城を残すのみとなっていた。

レクリスにザ・ジャッジメントの審判が下ったあの日、この地に1体のスピリットが流れ着いた。

プチバット
「ここが、かの有名なキャメロットでありますか……?」
キャメロット・ビショップ
「うむ、いかにもここはキャメロット。今は忘れられたただの古城じゃがな。ふむ、随分と弱っている……キャメロットは弱き者の味方。ゆっくり養生していくがよろしかろう」
プチバット
「……助かるで、あります」

目的地に着いた安堵で倒れ込むプチバットは、キャメロット・ライダーによって場内へと運ばれていく。

バットがキャメロットに滞在することになって数日、バットは体が動かせるくらいには回復していた。

闇騎士ユーウェイン
「もう動けるようになったか、ちっこいの。ウチの司祭の回復魔法は一級品だからなあ」
プチバット
「はい。おかげ様で、この体にも慣れたところであります。これなら、すぐにダンの元へ戻ることもできそうです」
闇騎士ユーウェイン
「おいおい、まだ動けるだけだろう? あせっちゃあいけねえ。それに、お前さん、剣を失ったんだってな、それでどうやって戦うつもりだ?」
プチバット
「……それは」
闇騎士ユーウェイン
「ここにはかつて、誰にも抜けない剣があってな、それを抜いて王になった者がいた……そのお人がいりゃあ、力になってくれたのかもしれねえがなあ。生憎、今は剣を使う騎士も残ってねえんだ」
プチバット
「……そうで、ありますか」
闇騎士ユーウェイン
「そうしょげるなちっこいの! お前さんが使えそうな武器の事、知ってそうなやつの心当たりがある。そいつを呼んどくから、今はさっさと体を治すこった」
プチバット
「分かったであります」

それから数日たったある日。キャメロットにユーウェインが呼んだ騎士がやってくる。

プチバット
「! ……貴方は!?」
???
「おやおや……ユーウェイン卿から話は伺ってはいましたが、随分と小さくなってしまいましたねぇ」
プチバット
「やはり、貴方は血盟十三候の一人、ストレッロ殿ではありませぬか! この様な所で出会えるとは」
血盟十三候ストレッロ
「いつかの血盟会議の時以来ですね。十三の席が埋まらないまま、あなたまでいなくなってしまったのではと心配していましたよ」
プチバット
「審判のあの日、自分はダンに助けられたのであります。ですから、すぐにでもダンの元に戻らなければならないのであります。そのためには……」
血盟十三候ストレッロ
「新しい武器、ですか……見たところ腕もないようですが」
プチバット
「こ、これは、そ、その、今はこのような姿でありますが、すぐに元に戻るに違いないであります!」
血盟十三候ストレッロ
「……ふむ、まあ、いいでしょう。実は先頃、この城の近くにある水晶の湖の小島で、誰にも抜けない槍が見つかりましてね」
闇騎士ユーウェイン
「誰にも抜けない槍ときたか、なんとも意味ありげだな。今のお前さんなら、湖の小島でも飛んでいけるだろう」
プチバット
「さっそく行ってみるであります」

水晶の湖――そこには、水晶と化した木々の輝きを湖面が映し出し、キラキラと輝く幻想的な空間が広がっていた。その湖の中央の小さな小島に黒い槍が刺さっている。一見誰にも抜けないようには見えない。近づくと、岩の陰に1体の鎧騎士のスピリットがいるのが分かった。

黒衣の騎士ザハク
「お前もこの槍を抜きに来たのか?」
プチバット
「そうであります! 自分は早く力を取り戻して、ダンの元に戻らなければならないのであります! そのためには、この槍が必要なのであります!」
黒衣の騎士ザハク
「この槍は、持つべき者によって抜かれる定め。試してみるがいい」

プチバットは柄を咥え、一気に引き抜く。すると槍は何の抵抗もなく抜けてしまう。

プチバット
「こんなにあっさりと抜けるなんて、本当にこれは誰にも抜けない槍なのでありますか?」
黒衣の騎士ザハク
「持つべき者にとってはそういうものだ。見ろ、槍があるべきところに還り、姿を変えようとしている」

それは、槍の中で光と闇がせめぎ合っているようだった。そして、黒い槍は、白と黒が混ざり合った新たな姿へと生まれ変わる。また、それに呼応するかのように、プチバットも以前の姿を取り戻す。

バット&エリュシオーネ
「自分の姿が元に……これならこの槍も扱えるであります!」
黒衣の騎士ザハク
「聖邪の契約槍エリュシオーネ。それがその槍の銘だ。持っていくがいい」
バット&エリュシオーネ
「あの、貴方はいったい?」
黒衣の騎士ザハク
「私はこの槍の守護者。槍は持つべき者の元へと還った。あとは去るのみ」
バット&エリュシオーネ
「待ってください! 自分はこれまで剣を使ってきました。槍には自信が無いであります。なので、自分に槍の扱い方を教えては頂けないでありますか?」
黒衣の騎士ザハク
「守護者として、この槍の行く末に責任をもたねばならぬということか……いいだろう、私の槍術のすべて、お前に授けよう」
バット&エリュシオーネ
「決まりであります。では、これからよろしくお願いしますであります!」

こうして、バットは新たな武器を手に入れ、しばらくの間、槍術の特訓をすることとなった。

しばらく月日は流れ、バットの槍の特訓も佳境を迎えるとき、キャメロットに向かってくる一団があった。

冥相棒カミュ
「……パンデミウムが反応してる……もう一人の魔界七将が近くにいるらしい」
契約の巫女トア
「間違いないね。もう残ってるレジェンドスピリットは少ないよ。キャメロットに急ごう!」
プチグロウ
「ああ、アイツが何をしようとしてるかは分からねーけど、きっとロクでもないことだ。ダンを助けて、オレたちが世界を守るんだ」

トアたちがキャメロットに向かっている中、先んじてカイがキャメロットに姿を現す。バットはユーウェイン、ザハクらと共に迎え撃つことになった。

バット&エリュシオーネ
「カイ、この様な所で出会うとは。キャメロットに何の用でありますか!?」
契約者カイ
「最後のピースを求めて来てみれば、まさか先回りされていようとは……だが、デスペラードは私が頂こう!」
バット&エリュシオーネ
「?」
契約者カイ
「?」
バット&エリュシオーネ
(ユーウェイン殿、デスペラードとは何でありますか?)
闇騎士ユーウェイン
(たぶん、城の裏に墜ちてきたヤツじゃねえか?)
バット&エリュシオーネ
(自分、そんなの知らないでありますよ!?)
闇騎士ユーウェイン
(お前さんが槍の稽古に出ているときだったかな……?)
バット&エリュシオーネ
(何か重要そうな感じでありますが?)
黒衣の騎士ザハク
(あれは、レジェンドスピリット。この世界の鍵を握るものだ)
バット&エリュシオーネ
(ザハク殿も知っていたでありますか!?)
黒衣の騎士ザハク
(稽古の邪魔かと思ってな)
バット&エリュシオーネ
(……)
バット&エリュシオーネ
「事情は大体分かったであります。デスペラードは自分が守るであります!」
契約者カイ
「…………いいだろう。キングタウロス大公、仕事の時間だ。キャメロットに眠りし魔界の将を目覚めさせるのだ!」

カイに操られたキングタウロスが、キャメロットの古城を斬りつけ、轟音を立てて崩れ去る古城。騎士たちの夢の跡が蹂躙されていく。

闇騎士ユーウェイン
「ちきしょう! 俺たちの城が……ッ」 
バット&エリュシオーネ
「許せないであります! 特訓の成果を、この契約槍エリュシオーネの力を見せるときが来たようでありますな」 

バットが白と黒の槍を構えると、光と闇の奔流がバットを覆い、次第にかつての様な勇姿を取り戻していく。

騎槍皇キャリバーレ・バット
「この姿は……これならいける気がするであります!」

キングタウロスのゲイボルグとキャリバーレ・バットのエリュシオーネ。2つの槍が激しくぶつかり合う。

――キングタウロスとキャリバーレ・バットの戦場から少し離れたところ。

契約の巫女トア
「すっごい音。もう始まっちゃってるんだ!」
プチランポ
「うわぁ、大公~暴れちゃダメだよぉ~」
零相棒ウィズ
「この金属音、武器がぶつかり合う音だ。だれかが戦っているな」

キャメロットの古城では、キャリバーレ・バットとキングタウロスが一進一退の攻防を繰り広げていた。しかし、カイに操られタガの外れたキングタウロスの一撃がキャリバーレ・バットに命中してしまう。エリュシオーネがその手から離れると、小さなプチバットの姿に戻ってしまった。

契約者カイ
「善戦したようだけど、キングタウロスの方が一枚上手だったようだね。さあ、デスペラードよ! お前の好敵手にして半身、キングタウロスはここにいるぞッ!! いまこそ、目覚めのときだ!」

キャリバーレ・バットの背後で眠るデスペラードが紫のオーラに包まれる。

プチバット
「カイの言葉に耳を傾けてはいけないであります……魔界七将よ、自分の声が聞こえるなら力を貸すであります! 因縁のキングタウロスと戦わせてやるであります」

紫のオーラが膨れ上がり、ついに魔界七将デスペラードが目覚める。デスペラードの目がキングタウロスとプチバットを交互に捉える。デスペラードはどちらの側に立って目覚めたのだろうか――一瞬の静寂の後、デスペラードはキングタウロス大公に斬りかかった。

契約者カイ
「敵対を取るか……しかし、他にもやりようはある。次の一手をお見せしよ……」
???
「ちょっと待ったぁ~~~~~~~っ! そうはさせないよ、カイ!」
契約者カイ
「ああ、静かだと思ったら、巫女殿がいなかったか」
契約の巫女トア
「遠すぎんのよここ! あと、あたしのこと忘れられてるのも、ちょっとムカつく!」
契約者カイ
「お仲間も勢揃いか……ダンの相棒たちもいるのか」
プチシャック
「はっはーッ! 俺様の評価が正しいのだけは認めてやらねばな」
鷲相棒ガット
「ミーたちのことはアウトオブガンチュー? 連れないナ☆」
契約者カイ
「……計画の目途は立った。それに、こんなところでフィナーレとは、興ざめもいいところ。場所を変えようか、世界の崩壊を終わらせるに相応しい時と場所へ」
契約の巫女トア
「何言ってんの、ジークフリーデンの力はあたしたちが握ってる。デスペラードを手に入れられなかったら、あんたの計画とやらも進められないんじゃないの?」
契約者カイ
「計画は進んでいる。着々とね。最終決戦は近い、いずれ君の元に招待状を送るよ。世界崩壊へのね。では、また会おう」
契約の巫女トア
「うへぇ、なにあれ、きも……」
花相棒フラウ
「ご招待だって~、い~な~」
幻相棒パルム
「いや、控え目に言って、かなりキモいかと」
造相棒レーヴ
「カイ ノ 言動 理解不能」
契約の巫女トア
「まあ、アイツはいつもあんな感じでしょ。まあ、いいわ、それよりあそこで倒れてる子、助けなきゃ!」
プチバット
「不覚……であります」
プチグロウ
「バット! 大丈夫か? お前のおかげで大事なレジェンドスピリット、カイに奪われずにすんだぜ」
プチバット
「それは、よかったであります」
プチシャック
「うむ、大金星だ。あとで勲章を授けよう!」
プチバット
「や、やったであります」
契約の巫女トア
「よかった、弱ってるけど、大丈夫みたい。今はゆっくり休んでね」
プチバット
「では、少しだけ休ませていただくでありま~す」

プチバットの奮戦のおかげでカイにデスペラードを奪われることは阻止できた。しかし、カイに焦りは見えなかった。着々と計画は進んでいるというその真意は何処にあるのだろうか。最後の審判の日まであとわずか。残されたレジェンドスピリットはあと3体。

プチバット