バトスピの世界観

契約編:界の世界観

第1章 エピソード1:ガット

  サイクロキャニオンを目指すトアとウィズは、その道中で巨大な「審判獣」に襲われる。
「ヘイ! そこのガール&ホワイトリザード。護衛はいらないかい?」
「今まさに襲われてるんですけどぉぉっ! なんとかなるなら、なんとかしてぇぇぇっ!!」
「そのオーダー承った! ヴィジランテ☆アッセンブルッ!」

トアたちの窮地を救ったのは「鷲相棒ガット」。サイクロキャニオンを中心に冒険者を集めて自警団を組織しているという。ガットの案内でドラゴエルダに会うこともできた。ドラゴエルダによると、審判の牢獄は世界と世界の狭間にあり、普通には辿り着くことのできない場所だという。しかし、審判の日にレクリスに落ちてきた「レジェンドスピリット」の力があれば、世界の壁を越えて、審判の牢獄にも行ける可能性があることも分かった。

ここで審判獣を倒しているだけでは世界は変わらないと、ガットはダン救出に力を貸してくれることになる。ガットを加えたトアたちは、レジェンドスピリットによって作られた巨大な雲塊へ向かった。

雲塊を見上げる所までたどり着くと、トア達の前に1体のスピリットが姿を現す。

「この先にはあの雲塊しかありませんよ。それを分かっていて、尚そこへ行こうというのなら、あなた達を敵と見なします」
「レディ、なんて悲しいことを言うんだ。ミーたちは分かり合えるはずサ☆」
「問答無用です。ジャッジフィンクス、やってしまいなさい」
「Nooooooooooooooooo!!!! そりゃないぜ、レディ」
「ガット、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 審判獣を操ってるなんて普通じゃない! あんたの力、あたしに貸して! 契約す・る・の!」

ガットの窮地を救うため、トアは強引に契約を交わす。魂ノ石板から契約煌臨の力を引き出し、ガットはジャッジフィンクスと対峙する。しかし、審判獣は1体だけではなかった。徐々に追い込まれるガット、戦いは次第に高度を上げ、遂には雲塊の中に飲み込まれてしまう。

「そんなっ、ガット!! ガットが雲に飲み込まれちゃった……」
「Q.E.D. 次はあなたたちです」
「……トア、僕たちの旅はこんなところで終われない。さぁ、契約煌臨を!」
そのとき、雲塊の奥からガットの声が響いてくる。
「……ジャスト、ア……モーーーメーーーーンッ!! トアッ! 契約煌臨したいナイスなスピリットをディスカバリーーーーーーーッ!」
「よかったぁぁぁ、ガット生きてたぁ。よく分かんないけど、分かった! 契約煌臨・履行!!!」

トアの契約煌臨が履行されると同時に、あたりが赤い光に包まれていく。ガットの姿が赤いドラゴンへと変わっていく。

「あれは、レジェンドスピリット……龍皇ジークフリード……」
「レジェンドスピリット!? あれが、あたしたちが探してた……」

圧倒的な力で審判獣を蹴散らしていくジークフリード。戦いはあまりにあっけなく終わりを迎えた。

「素晴らしい、あれが龍皇の力ですか。しかし、我が物とならないのであれば……」
「どお? ウチのガットは! なかなかやるでしょ、おねーさんっ」
「これは、失礼致しました。まだ名乗っておりませんでした。わたくし、世界崩壊契約者カイ様の契約スピリットが一人、天数魔導フェルマ・シーラムと申します。現在は、世界の現地調査の傍ら、レジェンドスピリットの捜索などを行っております」
「あたしはトア! 契約の巫女っていえば、分かるかしら? ダンを救出するために旅をしているわ」
「なるほど……あなたが例の」
「ここのレジェンドスピリットはあたしたちが貰ったわ。審判獣も倒したし、降参するなら許してあげるわよ!」
「レジェンドスピリットの力は十分理解していますとも。こんな風に」

フェルマがそういうと、どこからともなく蹄の音が聴こえてくる。そして、角を持つ黄色い獣が姿を現した。

「幻獣王リーン。わたくしのレジェンドスピリットです。確かにジークフリードの力は素晴らしかったです。が、まだ目覚めたばかり。十全にレジェンドスピリットを使役できるわたくしと勝負になるとでも?」
「ぐぬぬ……ガット、やれそう?」
「ソ~リ~、トア。ミーはそろそろ限界のようだ」
「ジークフリードとは相性が悪そうだ。僕にもレジェンドスピリットがいれば……」

にが虫をかみつぶしたような表情のトア。涼しい顔で微笑むフェルマ。すべてにおいてフェルマの方が上の様だ。

「いいでしょう。ジークフリードは預けておきます」
「え? いいの……? ホントに?」
「わたくし、今日は調査をしに来ただけですし。レジェンドスピリットの確保は仕事に含まれておりませんので」
「では皆さん。御機嫌よう」

そういうと、リーンに乗りフェルマは去っていった。緊張から解放されたトアたちは、一斉に崩れ落ちる。

「た、助かった~。あれ、絶対、見逃してくれたんだよね?」
「理由は分からないけど、恐らく」
「なんでもいいサ。生き延びられたのなら、ネクストタイムがあるってことダ☆」
鷲相棒ガット
「トア、今回はユーに何度も助けられた。ここに宣言しよう。ダンを救出して必ずレクリスを救うと! ユア・マジェスティー!」

無事を喜び合うトア達一行。彼女たちの旅は、まだまだ始まったばかり。

鷲相棒ガット